
高度障害保険金の請求直後に死亡した場合、死亡保険金を請求することは可能ですか。
私の父が交通事故で高度障害状態となりました。父は生命保険に加入しており、約款所定の高度障害状態に該当した場合、高度障害保険金を受け取ることができるという規定のある契約でした。そこで、指定代理請求人である母が高度障害保険金を生命保険会社に請求したのですが、父はその後まもなく亡くなってしまいました。生命保険会社から高度障害保険金が支払われる案内は届いていますが、母は死亡保険金を請求できるのでしょうか。
また、今回受け取ることになる保険金にはどのような税金がかかるのでしょうか。
- 保険種類:終身保険
- 保険金額:1,500万円
- 契約者:父
- 被保険者:父
- 高度障害保険金受取人:父
- 指定代理請求人:母
- 死亡保険金受取人:母
母、長男、私(長女)の3人
ご相談のような場合、死亡保険金の請求はできません。今回は高度障害保険金のみ受け取れることになります。高度障害保険金にかかる税金については、詳細解説をご確認ください。
保険契約には「約款」があり、そこには保険金の支払いに関していくつか補則が規定されています。
たとえば、
- 会社が高度障害保険金を支払った場合には、保険契約は高度障害状態になったときから消滅したものとする
- 死亡保険金支払前に高度障害保険金の請求を受け、高度障害保険金が支払われるときは、死亡保険金は支払われない
- 死亡保険金を支払った場合には、その支払後に高度障害保険金の請求を受けても支払われない
など、高度障害保険金と死亡保険金の二重請求(受け取り)はできないように規定がされているのが通常です。
恐らく今回のご相談の保険も、約款に同様のことが規定されていることと思われます。
このような約款がある場合には、すでに高度障害保険金の受取人であるお父様に代わって、指定代理請求人のお母様が高度障害保険金請求の意思表示をしており、高度障害保険金が支払われる案内が届いていることから、高度障害保険金の支払が優先され、死亡保険金の請求はできません。
ご相談の高度障害保険金は、指定代理請求人であるお母様が請求しており、お母様が受け取ることとなります。この場合、所得税は非課税となります。ただし、帰属は本来の受取人であるお父様であることから、お父様死亡後に受け取る高度障害保険金は、お父様の財産として、相続税の課税対象となります。
なお、相続財産となる未収の高度障害保険金は本来の財産であるため、死亡保険金の非課税規定は適用されませんので、ご注意ください。
[関係法令通達]
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